2013-01-01から1年間の記事一覧

女と男のいる舗道 / オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ

mo

悲劇 と カップル。 ゴダールの文学青年時代。ブリス・パランの素晴らしい講義と、アンナ・カリーナの可愛らしいダンスと憂い顔と涙と、男たちの身勝手さによる悲劇の幕切れにおける死で、物語としての悲劇にお別れを告げるゴダール。 次の『はなればなれに…

地図と領土 / シナのルーレット / メーヌ・オセアン / Gretchen Parlato

lit

ユーモアのない生 と 中流の「幸せ」 と 音楽。 ウェルベックの『素粒子』を読んで、この作家の本はもう必要ないと思った記憶がある。新聞やネットなどでよく見られる社会問題に対する悲観的一般論が散らばっているだけで、フランスなら『地図と領土』では故…

教授とわたし、そして映画 / 引き裂かれた女 / かぐや姫の物語

mo

大人であるらしい男 と フーガ と 絵。男たちは子どもの身振りを持ったまま、だんだんと深化していく。女たちはいまだ謎のまま。追い求める男女、別れに際して化け物に変わる女、ストーカーまがいの男、感傷的でどうしようもない男、強い女。だらしないが、…

欲望の翼 / ビフォア・サンセット / V. / リヴァイアサン

lit

ポリリズムのない退屈な物語 と 女の中にいる男 と 海。 香港ーフィリピンのふつうの物語『欲望の翼』。遊び人とそれに釣られる女たちと真面目な労働者の戯れ。何に精を出すこともなく、女とのんべんだらりと過ごし、求められれば捨て、1人で煙草をふかし、…

ムード・インディゴ  うたかたの日々/ 時計じかけのオレンジ / 桐島、部活やめるってよ

mo

完璧に近い物語 と 恋愛よさようなら と ソフィア・コッポラの不変性。ライティ・ライト。崩れた、楽しい言葉をつかって外国人として反抗するアレックス。キッチュな風景に取り囲まれ、イエーース?と自分の答えを押しつける教師とボロ人形同然の両親からま…

女たち / 3人のアンヌ / 楽園への道 / ラブ・ストリームス

問題はただ単に人間の避け難い性向である、ということを考えまいとしていま控え目に言われるとおり、全体主義はただ洗練によってしか打ち破られないだろう…体系的で、野性的な洗練…善意によってではない…とんでもない!声明を出して自分を広めたりしないこと…

熱波/風立ちぬ/SARU

mo

メロドラマ と おとぎ話。ポルトガルーブラジルーアフリカー日本。湿潤温帯から亜熱帯へと移行した日本でセンチメンタル=メロドラマを見て涼しい気分になった。暑苦しいはずの鬱蒼とした木々には風がさほど当たらず、虫の音のリフレインは鰐の生け簀に落ち…

夢遊の人々 / ザ・マスター / イノセント・ガーデン / 風立ちぬ

lit

夢遊する救い と ブルジョワの官能 と 物語の救いのなさ。 ブロッホの著名な小説だが、帯にあるような全体小説ではないように思う。作者が「私」として登場することや、その登場人物たちが作者の下に置かれていることが明文化されること、アフォリズムが随所…

『ムーンライズ・キングダム』『フォーエヴァー・モーツァルト』『ホーリー・モーターズ』『ザ・マスター』

mo

子どもと大人のためのおとぎ話 と 運動の終焉 と 男の抱擁。ゆるく、小気味よく、たんたんと、たまに感情的に言うべきことを言う登場人物たちとともに、やはりおとぎの国のおとぎ話を物語る。これは映画だから、と言って切り捨ててしまうのはもったいないと…

マルタ / スタッキング可能 / ツァラトゥストラ

lit

たえがたいイメージがまた一つ。暗鬱な音楽や映画、それらの暗く湿った感傷的なイメージは個々の観客がもつ、ある程度共有された悲しみや痛みなどといったものに寄り添い、くっつく。そしてどうなるか、それまで個人のモノだったイメージにその映画や音楽が…