2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・カサヴェテス『ラブ・ストリームス』

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イメフォで行なわれているジョン・カサヴェテスレトロスペクティヴ。他は「アメリカの影」「こわれゆく女」「フェイシズ」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」「オープニング・ナイト」。『ラブ・ストリームス』はDVD化されておらず、諦めていたので上映が…

ジャン=リュック・ゴダール 「万事快調」

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1972年、ジガ・ヴェルトフ集団名義。フランスからイヴ・モンタン(ジャック)、アメリカからジェーン・フォンダ(スーザン)を主演にするが、それは政治的選択であり、冒頭で面白おかしく説明される。恋愛映画を揶揄する二人の歩きとオフヴォイス。五月革命…

アキ・カウリスマキ「ル・アーブルの靴みがき」

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朝日新聞の別紙グローブでも取り上げられ、主に中高年に好評を博しているようだ。新聞や劇場の説明文で「ハッピーエンド」やら「晴れやかな旅立ちの再生のラスト・シーン」などと言っちゃうのは勘弁してほしい。カウリスマキは案外ラストシーンに凝っている…

ロバート・アルトマン『ロング・グッドバイ』

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何の衒いもなく『The Long Goodbye』を登場人物たちに唄わせておきながら、筋は原作から大きく逸れていく。チャンドラーの原作ではクールな男2人の友情がいささか感傷的に描かれていたのに対し、映画では脆くも崩れさる。マーロウを演じるのはエリオット・…

川内倫子「照度 あめつち 影を見る」

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東京都写真美術館で川内倫子展を観てきた。ガーリーフォトという単純すぎるネーミングをもつ女の子写真とは一線を画す、川内倫子。今回の展覧会は「Illuminance」「Iridescence」「ある箱の中」「あめつち」という組写真、インスタレーションと「影を見る」…

磯崎憲一郎「世紀の発見」/ 是枝裕和「奇跡」

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大手商社マンながら芥川賞を受賞した磯崎憲一郎の長編、『終わりの住処』の前作『世紀の発見』が河出で文庫化されたため、購入した。『終わりの住処』を先に読んだのだが、唐突に出来事が起こり、登場人物はさして抗うことなくそのなかで生活を続けていく。…

セザンヌ / ジャック・ベッケル『モンパルナスの灯』

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マックス・オフュルスの死によりジャック・ベッケルが代わりに監督を務めた『モンパルナスの灯』 美術史的な評価もそこそこに高い知名度と人気を誇るモディリアーニの不遇の晩年を描く。ジェラール・フィリップがモディリアーニを演じている。ドンファンのよ…

トマス・ピンチョン「LAヴァイス」/デビッド・クローネンバーグ「ビデオドローム」

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ピンチョンの新訳、最新刊『LAヴァイス』が出た。初邦訳。『競売ナンバー49の叫び』『ヴァインランド』に並ぶカリフォルニアを舞台にしたノワール小説。2009年に書かれた本書はこれまでで一番読みやすい。やたらと情報としての指標が立ち並び、説明も…

エリック・ロメール「三重スパイ」

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フランス未公開傑作選より。1930年中頃〜40年前半、フランス在住のスパイの男フョードルとギリシャ人の美人妻アルシノエ、その友人の悲喜劇。音はほとんどなく会話の声が中心にある。全体を通して静かな映画である。実話に基づいた創作で、結末は知っ…

ミシェル・ウェルベック「素粒子」

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10年程前にフランスを賑わせたらしい本書。異母兄弟の二人を軸に文明批判。あからさまな性描写だけでも話題になりそうな本ではある。個人的にはペシミスティックな語りに同調することはなく、半ば笑いとして受けとった。フランス現代思想がドゥルーズやフ…

ジェームズ・グレイ「トゥー・ラバーズ」

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ジェームズ・グレイとホアキン・フェニックス(レナード)、そしてグウィネス・パルトロー(ミシェル)。まさかのDVDスルー、ジェームズ・グレイ。新作はちゃんと上映してください!!!レナードがミシェルとサンドラのあいだを行ったり来たりする。きめ細か…

「海炭市叙景」

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音楽がジム・オルークだというので観た。日本映画は久々。退屈な情景がだらだらと流されるようなものを想像していたが、海炭市に住まう人々の群像劇で大した交わりはないが、短編を繋ぎ合わせた話で退屈はしなかった。リストラされた造船員とその妹/古びた…

ゴダール『右側に気をつけろ』/ジャック・タチ『左側に気をつけろ』

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「よく、ぼくの映画のすべてを理解したわけじゃないなどと口する人がいる。でもぼくの映画には理解すべきことなどなにもない。耳を傾けさえすれば、そして受け入れさえすればいい」とゴダールが言う。わかりにくいと口々に言われる後期ゴダール作品だが、何…