吉祥寺バウスシアターの爆音映画祭で。他にも「戦艦ポチョムキン+Hairstylistics」など興味深い上映がたくさん。まずは牧野貴の新作「2012 act.3」制作中の作品で、徐々に時間が延びていくものらしい。20分前後で音は牧野貴がライブで演奏。ノイズドロー…
アメリカでウディ・アレン史上最高の興行収入を記録した本作。そのタレコミ通り、毒は少なめで美しいパリの映像とノスタルジックなタイムスリップで観客を満足させている。ウェス・アンダーソン作品に欠かせない存在であるオーウェン・ウィルソンが主役のギ…
これからというときに亡くなってしまった素晴らしい映画作家エドワード・ヤンの1996年の作品。若者の群像劇ーー白のTシャツにジーパンという北野武のソナチネを思わせるファッションをした男たち、簡素で美人のフランス女マルト、けばいブルジョワおばさ…
ドイツの現代美術作家の日本では初めての展覧会。社会的な事件を切りとった写真のイメージを元に紙でその空間を再現して写真に撮り、写真を作品とする(紙でつくられたものはすべて処分するらしい)。手の込んだ、つくりこまれた作品。以下、フォトグラファ…
41歳という若さで夭折した最後のヌーヴェルヴァーグ、ゴダールが発見したらしい天才ユスターシュの傑作「ママと娼婦」白黒のアレブレのある映像だが、VHSでも十分に観られる。ジャン=ピエール・レオ主演(アレクサンドル)と囲う女マリー、あばずれでナン…
「ぼくのエリ」の監督トーマス・アルフレッドソンの第二作?前作のサスペンス要素が前面に出てきた。冒頭のブタペストのカフェのシーン、戦闘機の音、それに呼応して鳴るカップとテーブル、倒れる椅子、そして拳銃。アクションなしって言われてるけど、この…
イメフォで行なわれているジョン・カサヴェテスレトロスペクティヴ。他は「アメリカの影」「こわれゆく女」「フェイシズ」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」「オープニング・ナイト」。『ラブ・ストリームス』はDVD化されておらず、諦めていたので上映が…
1972年、ジガ・ヴェルトフ集団名義。フランスからイヴ・モンタン(ジャック)、アメリカからジェーン・フォンダ(スーザン)を主演にするが、それは政治的選択であり、冒頭で面白おかしく説明される。恋愛映画を揶揄する二人の歩きとオフヴォイス。五月革命…
朝日新聞の別紙グローブでも取り上げられ、主に中高年に好評を博しているようだ。新聞や劇場の説明文で「ハッピーエンド」やら「晴れやかな旅立ちの再生のラスト・シーン」などと言っちゃうのは勘弁してほしい。カウリスマキは案外ラストシーンに凝っている…
何の衒いもなく『The Long Goodbye』を登場人物たちに唄わせておきながら、筋は原作から大きく逸れていく。チャンドラーの原作ではクールな男2人の友情がいささか感傷的に描かれていたのに対し、映画では脆くも崩れさる。マーロウを演じるのはエリオット・…
東京都写真美術館で川内倫子展を観てきた。ガーリーフォトという単純すぎるネーミングをもつ女の子写真とは一線を画す、川内倫子。今回の展覧会は「Illuminance」「Iridescence」「ある箱の中」「あめつち」という組写真、インスタレーションと「影を見る」…
大手商社マンながら芥川賞を受賞した磯崎憲一郎の長編、『終わりの住処』の前作『世紀の発見』が河出で文庫化されたため、購入した。『終わりの住処』を先に読んだのだが、唐突に出来事が起こり、登場人物はさして抗うことなくそのなかで生活を続けていく。…
マックス・オフュルスの死によりジャック・ベッケルが代わりに監督を務めた『モンパルナスの灯』 美術史的な評価もそこそこに高い知名度と人気を誇るモディリアーニの不遇の晩年を描く。ジェラール・フィリップがモディリアーニを演じている。ドンファンのよ…
ピンチョンの新訳、最新刊『LAヴァイス』が出た。初邦訳。『競売ナンバー49の叫び』『ヴァインランド』に並ぶカリフォルニアを舞台にしたノワール小説。2009年に書かれた本書はこれまでで一番読みやすい。やたらと情報としての指標が立ち並び、説明も…
フランス未公開傑作選より。1930年中頃〜40年前半、フランス在住のスパイの男フョードルとギリシャ人の美人妻アルシノエ、その友人の悲喜劇。音はほとんどなく会話の声が中心にある。全体を通して静かな映画である。実話に基づいた創作で、結末は知っ…
10年程前にフランスを賑わせたらしい本書。異母兄弟の二人を軸に文明批判。あからさまな性描写だけでも話題になりそうな本ではある。個人的にはペシミスティックな語りに同調することはなく、半ば笑いとして受けとった。フランス現代思想がドゥルーズやフ…
ジェームズ・グレイとホアキン・フェニックス(レナード)、そしてグウィネス・パルトロー(ミシェル)。まさかのDVDスルー、ジェームズ・グレイ。新作はちゃんと上映してください!!!レナードがミシェルとサンドラのあいだを行ったり来たりする。きめ細か…
音楽がジム・オルークだというので観た。日本映画は久々。退屈な情景がだらだらと流されるようなものを想像していたが、海炭市に住まう人々の群像劇で大した交わりはないが、短編を繋ぎ合わせた話で退屈はしなかった。リストラされた造船員とその妹/古びた…
「よく、ぼくの映画のすべてを理解したわけじゃないなどと口する人がいる。でもぼくの映画には理解すべきことなどなにもない。耳を傾けさえすれば、そして受け入れさえすればいい」とゴダールが言う。わかりにくいと口々に言われる後期ゴダール作品だが、何…
多くのシネアストがフェイバリットに挙げる「夜の人々」白黒で、ファーリーグレンジャー(ボウイ)、キャシー・オドネル(キーチ)の愛を映し出す。二人が抱擁するシーンではキーチの顔がクローズ・アップされる。ソフトフォーカスなのか絞りの問題なのかう…
1972年、ジガ・ヴェルトフ集団名義。フランスからイヴ・モンタン(ジャック)、アメリカからジェーン・フォンダ(スーザン)を主演にするが、それは政治的選択であり、冒頭で面白おかしく説明される。恋愛映画を揶揄する二人の歩きとオフヴォイス。五月革命…
レオー(彼)とジュリエット・ベルト(彼女)の二人が夜な夜な黒いスタジオにやってきてテレビかスクリーンを見て話し合う。五月革命やらいろいろと。五月革命の前後またいで取られた本作にも政治色は色濃く反映されている。二人の姿勢や位置が挟まれる映像…
脈絡なくいきなり歌い出すミュージカルは見て来なかった。「ドリームガールズ」だったかビヨンセと二人の引き立て役の三人がバカ売れポップトリオになる映画をスペインの長距離バスで見た(音無し)が、深刻な顔になってうつむく不器量な女が大きく口を開い…
悪夢。変態との3Pを語る逆光の女とそれを逐一聴く男のシーンは低音の効いた弦楽の効果も相まってシリアスなものに見える。 しかし、一転してインディアンの格好をした子どもが主役の夫妻の車を棒で叩いていて夫がそれにキレながらも車を動かすと角の車に当…
オーディトリアムで特集されているゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団の作品。1968年「ありきたりの映画」はフランスの五月革命を当時の映像と団地の空き地の草むらで5人の男と1人の女が議論する映像、それだけ。基本的に6人の議論ではカメラは固定され、…
河出から出された世界文学全集の「灯台へ」を読んで初めてヴァージニア・ウルフの文体に触れたが、読みにくく時間がかかった。「波』にいたっては絶版であり古本でしか手に入らない。したがって翻訳も古いのだが、「灯台へ」にある物語らしきものはなく散文…
圧倒的な写真群。 完璧な構図で都市部に潜むエアポケットのような空間を翳めとる。風景だけを見ていても北島敬三が動いて撮る作家であることがわかる。 雪のなかにタイトル通り、隔離され、ぽつんと佇む家や廃れた民家、ガソリンスタンド、工事中の道路、新…
残念ながらミレールの他の作品は観たことがなかったが、「引き裂かれた女」のリュディビーヌ・サニエ(アンナ)が出ているということで観た。三つの年代。戦中、戦後、現在(モノクロ)で中心となる夫妻の子どもフランソワ(マチュー・アマルリック)の回想…
本日イメージフォーラムで封切りされたフランス映画未公開傑作選。クロード・ミレールが4月に亡くなってしまったので、そういう特集ともとれる。しかし、この御三方の映画はどんなものであっても傑作と呼ばれてしまうぐらいのものである。初日に行ってみた…
「夜の霧」「ヒロシマ・モナムール」「去年マリエンバードで」につづく「ミュリエル」ヌーヴォーロマンの影響というかロブ=グリエのそれによって、冒頭から次々と移り変わるカット、不自然な会話。支離滅裂と言ってしまいたいほどのつなぎが居心地を悪くさ…