2012→2013→2016 WATTISMUSICFOR

映画/音楽/文学/美術

ブギー・ナイツ / パーティー・ガール(暗黒街の女)

青春ー栄光ー没落 レイジング・ブル

青春時代の細切れの栄光の日々は欲しいものを買ってパーティーを開いてホワイトラインを鼻の中に入れていくお決まりのものだが、終盤に向けての材料が散りばめてある。ホフマン先生の使い方が酷い。監督のキャラが薄い。ゴシップ抜きのパルプフィクション没落はお決まりのドラッグと慢心から。

映画と金の話だとヴェンダースが真面目に《ことの次第》をつくっているからそちらを見たほうがいい。

中盤は軽く、後半は重苦しく、最終盤はちょいと甘く。ローラーガールが決して脱がなかったローラースケートが振り下ろされ、黒人のコロコロと変わったコスチュームの通過点白いタキシードが赤く染まる。《ゼア・ウィルビー・ブラッド》は資本主義が中心にあるだけに最後までこの後半の重苦しさが持続し、より気持ち悪さを増したが、《ブギー・ナイツ》は腕力と銃、そしてチャイニーズの爆竹を使って緊張させる。三人組が爆竹にいちいち反応するのはわかる。あのタイミングで爆竹が間欠的に爆ぜれば誰だって飛び上がる。映画館では見たくない。真ん中に座るジョン・C・ライリーが主役の座を奪う反応を見せ、和ませてくれる。

主人公はどうしようもない家庭を抱え、その反発を原動力にする《アメリカン・ハッスル》の若手警察官のようであり、鬱々としてすぐにドラッグに手を出してさらにどうしようもなくなるオシャレ代表という洒落でしかない悲しい称号を与えられた《トレイン・スポッティング》のような憂鬱はなく、アメリカン・ドリームの形式からはみ出すことはない。

《さしておもしろいこともないから爆竹でも鳴らしておこう》という田舎の中学生のような姿勢は中国人以外に誰も見せないが、全編を覆う軽さにそれが見える。

それだと一年はあっというまに過ぎていく。気づいたらもう一年過ぎている。

 

 

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ニコラス・レイの時代はそういうことはなく、《暗黒街の女》で正真正銘の悪役リコが万来の拍手を止めさせ、言葉が褒めと貶しのあいだ、微妙な領域にさしかかったところでプレゼント、もらったとしても全然嬉しくない銀製のキューを振り下ろす。あのじわじわくる気色悪い暴力の予感はアルトマンの《ロング・グッドバイ》のコーラ瓶にもあった。

そしてそのプレゼントはのちに硫酸に姿を変える。今ならあんな危なっかしい瓶ではなくスプレーになるのだろう。その硫酸をかけるぞ、と脅されるのがどこかソフィア・コッポラに似ているパーティーガール、ヴィッキーで彼女の赤いドレスはどう考えても胸を強調しすぎていて、弁護士トミーの視線を釘付けにして毛布をかけるかかけまいか逡巡までさせるが、形がおかしい。

トミーの推薦でダンサーに出世したヴィッキーのダンスは逐一音に合わせる下品なダンスで、これがヒロインかと思うと力も抜けていき、この女に惚れてしまうトミーもトミーで名誉と金を求めるがゆえに悪事に手を貸す古典的なアメリカンで、正直言って一番魅力的なのはデニーロに似てなくもないマフィアのボス、リコであるという変な映画だった。

トミーがマフィアの一員を無罪にする方法は陪審員の情に訴えかけるというなんともいかがわしい方法で、それはリコに命乞いするときも変わらないのだが、結局無知で何の役にも立たない警官が発砲してくれてリコが自滅し、助かる。というものすごいご都合主義で、ここでも裏切った旧友を傷つけることなく自分の顔に硫酸をぶっかけるという倒錯行為を見せるリコがいい。脅すのはよくないけどトミーが勝手なんだからしょうがない。

なんかトミーはかっこつけてたけど、ヴィッキーには魅力がないし元妻は本当にどこがいいのかさっぱりわからないような女で、そんなどうしようもない男がかっこつけているところを見るという貴重な体験ができる。

 

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