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11月初旬からホン・サンスの特集「恋愛に関する4つの考察」が組まれている。シネマート新宿。代官山ツタヤではヌーヴェルヴァーグ作品といっしょに並べられているフランス寄りのホン・サンスは日本でどう見られるのか。ポン・ジュノ、キム・ギドク、パク・…
中国、消される街に住まう人々のなか、歪ながらも夫婦という関係を持ち、はなればなれになった2人が再会する。言葉少なく廃墟のなかに佇む男と女それぞれの緩慢な動きと、『煙草/酒/茶/飴』という長い歴史を持つ「物」で物語は進む。登場人物たちの意識…
トリアーがカンヌから追放されるきっかけとなった本作。ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」、モチーフを散見させる静止画、地球とその周りを予測できない軌道で回る惑星。地球にその惑星が衝突してタイトル「メランコリア」第一部はジャスティン。広告会…
今年日本で公開されてどの層からかわからないが絶賛されていた本作、どこが絶賛されているのかは知らず。無口で誠実そうな煙草を吸わない自動車整備士、副業として運び屋、レーサー、スタントもやる男が主人公。隣人の子持ち女アイリーン(夫スタンダードは…
ユーロスペースで。海外の有名映画監督が日本で撮ったといえばヴェンダースの「東京画」、ホウ・シャオシェンの「珈琲時好」などまあ小津リスペクトが強いものが浮かぶ。今回の主役が隠居したじいさんということで、またそれかと思ったが、物語をきちんと練…
『パリ、18区、夜。』の次、またも傑作、なぜかDVD化されておらずVHSでしかない。1996年、2人のはなればなれになった兄妹が再会し、生活する。思春期、盛りのついた兄ボニと拗ねた目で世界を睥睨し煙草をふかす妹ネネットは感情的だが、決して単純化…
「ハメット」でコッポラと共作しようとして途中で外れたヴェンダースがそれと平行して撮った作品。SF作品を時代遅れとなった白黒で撮ろうとする監督が主人公の映画内映画作品でその当時から現在にも通じる産業映画(ハリウッド映画)批判が全編にわたって繰…
「右側に気をつけろ」「パッション」「カルメンという名の女」とゴダールのなかでも親しみをもって語られる80年代作品のひとつ「こんにちは マリア」、とにかくミリアム・ルーセルの美と自然美をうつした映像が賞賛される。処女懐胎を枠として何の躊躇もな…
退屈で凡庸な「ショコラ」の監督で認知されているのだろうが、本作そしてヴェンダース、ジャームッシュが絶賛する(彼らの助監督をしていたらしい)「ネネットとボニ」、ギャロ出演の「ガーゴイル」といった作品をもつ。「ショコラ」のあと1994年に製作…
アダムとエヴァの楽園追放。かつてアメリカを追放されたロージーのなかで最も知られた一作。マッチョな男と自由な女。ドゥルーズ「シネマ」より『しばしば、環境に先んじて、環境に反抗して、そして男たちの起源的世界の外部において現れ、在るときはその環…
アテネフランセで。黒沢清が絶賛してるためか、満員。アテネフランセは席取りを誤ると満足に映画が観れない。19世紀中頃から終わりまでバイエルンの国王であり、ワーグナーのパトロンであったルートヴィヒⅡ世の伝記映画。民衆から盲目の信頼を受けつつも藝…
「軽蔑」はカラーだったが、本作と翌年の「アルファビル」は白黒となっている。日本での公開は00年代と遅れた。フランツとアルチュールという文豪の類型である2人の男と純粋無垢なオディールの三人の数日間、まだ物語を語っていた時代に撮られた本作はゴ…
2005年。阿部和重、中原昌也/浅野忠信、宮崎あおいというおなじみのチームで撮られた本作。人々を自殺に走らせるウイルスとそれを吸収し消滅させるノイズミュージック、その演奏家2人、過去の女、病人、その養護者2人、包括するレストランのおばさまが主…
アメリカの実験映画、2011年制作。イメージフォーラムフェスティバル、横浜美術館の最後のプログラム。他にもたくさん見たいものがあったが・・・これだけで。ワンシーンワンショットでアメリカの小道?画面を横断する山脈、四季折々の木々、荒野、工業…
ヌーヴェルヴァーグの登場人物が裏切りや死にも関連づけられることがないのとは正反対に、今日の映画では未だにそこへの執着が見られる。たしかにその限界には様々な葛藤があり、その葛藤は劇的でもある。しかし、やはりクリシェであることは否めない。新た…
物語の始めからトリュフォーのようなまっとうな説明や脈絡といったものはなく、退屈そうなフェルディナン(ベルモンド)はすぐに妻を捨てマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と逃避行へ。ゴダールの映画に夫婦生活はなく、常軌を逸した、普通でも神経症でもなく…
アラン・J・パクラ監督、ウォーレン・ビューティ主演と書いてはみたが、どちらにも大して興味はない。75年。大形式の映画。大統領候補暗殺事件の陰謀を探る新聞記者ジョー・フラディと「パララックス・ビュー」という暗殺集団との戦い。SFのようなタワーの…
武の映画は夏の映画。ソナチネ、あの夏〜、菊次郎の夏・・・「Brother」はわからない。アメリカのチンピラたちの着込み具合からみて冬かもしれない。日本のヤクザ界を追われてアメリカの弟の元に逃げた兄貴、その舎弟、弟の友達でアメリカでも名を上げるが、…
吉祥寺バウスシアターの爆音映画祭で。他にも「戦艦ポチョムキン+Hairstylistics」など興味深い上映がたくさん。まずは牧野貴の新作「2012 act.3」制作中の作品で、徐々に時間が延びていくものらしい。20分前後で音は牧野貴がライブで演奏。ノイズドロー…
アメリカでウディ・アレン史上最高の興行収入を記録した本作。そのタレコミ通り、毒は少なめで美しいパリの映像とノスタルジックなタイムスリップで観客を満足させている。ウェス・アンダーソン作品に欠かせない存在であるオーウェン・ウィルソンが主役のギ…
これからというときに亡くなってしまった素晴らしい映画作家エドワード・ヤンの1996年の作品。若者の群像劇ーー白のTシャツにジーパンという北野武のソナチネを思わせるファッションをした男たち、簡素で美人のフランス女マルト、けばいブルジョワおばさ…
41歳という若さで夭折した最後のヌーヴェルヴァーグ、ゴダールが発見したらしい天才ユスターシュの傑作「ママと娼婦」白黒のアレブレのある映像だが、VHSでも十分に観られる。ジャン=ピエール・レオ主演(アレクサンドル)と囲う女マリー、あばずれでナン…
「ぼくのエリ」の監督トーマス・アルフレッドソンの第二作?前作のサスペンス要素が前面に出てきた。冒頭のブタペストのカフェのシーン、戦闘機の音、それに呼応して鳴るカップとテーブル、倒れる椅子、そして拳銃。アクションなしって言われてるけど、この…
イメフォで行なわれているジョン・カサヴェテスレトロスペクティヴ。他は「アメリカの影」「こわれゆく女」「フェイシズ」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」「オープニング・ナイト」。『ラブ・ストリームス』はDVD化されておらず、諦めていたので上映が…
1972年、ジガ・ヴェルトフ集団名義。フランスからイヴ・モンタン(ジャック)、アメリカからジェーン・フォンダ(スーザン)を主演にするが、それは政治的選択であり、冒頭で面白おかしく説明される。恋愛映画を揶揄する二人の歩きとオフヴォイス。五月革命…
朝日新聞の別紙グローブでも取り上げられ、主に中高年に好評を博しているようだ。新聞や劇場の説明文で「ハッピーエンド」やら「晴れやかな旅立ちの再生のラスト・シーン」などと言っちゃうのは勘弁してほしい。カウリスマキは案外ラストシーンに凝っている…
何の衒いもなく『The Long Goodbye』を登場人物たちに唄わせておきながら、筋は原作から大きく逸れていく。チャンドラーの原作ではクールな男2人の友情がいささか感傷的に描かれていたのに対し、映画では脆くも崩れさる。マーロウを演じるのはエリオット・…
マックス・オフュルスの死によりジャック・ベッケルが代わりに監督を務めた『モンパルナスの灯』 美術史的な評価もそこそこに高い知名度と人気を誇るモディリアーニの不遇の晩年を描く。ジェラール・フィリップがモディリアーニを演じている。ドンファンのよ…
フランス未公開傑作選より。1930年中頃〜40年前半、フランス在住のスパイの男フョードルとギリシャ人の美人妻アルシノエ、その友人の悲喜劇。音はほとんどなく会話の声が中心にある。全体を通して静かな映画である。実話に基づいた創作で、結末は知っ…
ジェームズ・グレイとホアキン・フェニックス(レナード)、そしてグウィネス・パルトロー(ミシェル)。まさかのDVDスルー、ジェームズ・グレイ。新作はちゃんと上映してください!!!レナードがミシェルとサンドラのあいだを行ったり来たりする。きめ細か…