2012→2013→2016 WATTISMUSICFOR

映画/音楽/文学/美術

肌理ー画素

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2014/9/20

ジョゼフ・ロージー『スチームバス』

 

ときおり、ぼくが一人の中年の女の顔を見かけるとき、あの目鼻立ちの整った、考えぶかそうな部類の顔、髪にはようやく白いものが混じりはじめ、皺はどれもしかるべき場所にあって、まるで未知の非常に古い規範にしたがって描かれているような、そんな女の顔を見かけるとき、ぼくは内心思う、いったい何が彼女を彼女にしているのか? 何がこの顔を平和に保ち、何がこの顔を保っているのか? こうした目鼻立ちをすべてこの秩序のうちにつなぎとめている目に見えない意志、針金のように痩せた輪郭は何なのか? いったいどうしてこんなことが可能なのか?

だがそれが彼女の意志、この目立たない女の意志なんかでないのはもちろんだ。意志しているのは彼女ではない。ぼくであり、他人たちなのだから。彼女はたぶん、できれば細片と化したい、多数の不分明な、吹けば飛ぶようなかけらとなって消えてしまいたい、空中に蒸発してしまいたいと思っているだろう。そうした可能性はどれも欠けていない。彼女はそれらをすべて持ち合わせている。それならば、どうして? どうして彼女は欺かないのか? どうして彼女は、ただの一秒でもいい、彼女であることをやめないのか?

だが彼女は自分から離れることができないし、そのことを知っている。

……クレジオ『物質的恍惚』無限に中ぐらいのもの p42-43

 

Henry Threadgill's Zooid - Tomorrow Sunny / The Revelry, Spp - See The Blackbird Now

 

Tomorrow Sunny/the Revelry

 

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物質的恍惚 (岩波文庫)