2012→2013→2016 WATTISMUSICFOR

映画/音楽/文学/美術

Animal Collective / Campfire Songs

遠くから聴こえてくる、風に切られたアコースティックギターの音、虫の断続的な鳴声、祝祭の前の人声。パンダ・ベアという変わった名をもつ青年の声はすでに闇の中へ、鬱蒼と茂る木々の中へ融け始めている。夜の黒いカーテンが降りて、光は枯れ木を燃やす火と点々の星、木々のあいだに時折光る狼の目、火を囲む男たちの疲れたような目だけ。


ギターは風とともに鳴らされる。風が止めば音も消える。男たちの声は重なり合い、火とともに黒い空へ伸びていき、終わりがない。この暗い森のなかには終わりがなかった。青春もお遊びも気晴らしもなく、ただ座って火を見つめ、歌い続けるだけ。食料は煙草と川の水だけでたまに鈍臭いネズミやら鳥やらにありつける。すべて火で焼いて食べる。三人の男たちの声はいつのまにかまた一人のそれになり、ギターが火をさらに赤に染める風とともにかき鳴らされた。三人の裸体が横に不規則に揺れ、細い首が間欠的に縦に落とされる。肩口まで伸びた薄汚い金髪が広がり、収束し、影に沈んだ青い目を隠した。


ヒッピームーブメントやらスピリチュアルやら自由やら冒険やら紋切り型を忌み嫌う彼らは言葉と声を同化させ、音楽にする。伴奏と歌の区別はない。その場にいながらにしてどこかへ抜け出ようとする疾走感とその後の静寂、その繰り返しは結局彼らをその場に留まらせる。どこにも行けないことを知ってはいるが、どこかへ行くことへの憧憬は消えず、そのまま音楽となる。若さの終焉も青春の諦めも語り尽くされていて、退屈なだけであり、彼らはまた別の道をそこで見つけようとしている。我々はそこに加わることはできない。彼らには彼らの場所があって我々には我々の場所がある。
紡ぎ出されたものをただ黙って見つめ、耳を傾け、取り込むだけだ。




Campfire Songs

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