2012→2013→2016 WATTISMUSICFOR

映画/音楽/文学/美術

Robert Grasper / Black Radio


タワレコでもプッシュされているが、ヒップホップ、ブラックミュージック、ジャズとジャンル横断的名盤。
ソウルやジャズはダンスミュージックに融和してきたが、どうしてもハウスやミニマルの色が強すぎて、「うまく使われてしまっている」だけに留まるものが多数を占めている。デトロイトはその点、ソウルやジャズへのリスペクトが強く、退屈であることは否めないが、退屈故の退廃と快楽をもたらしてくれた。


「Black Radio」はブラックミュージックの発展形、新しさを兼ね備えた音楽である。図太いベースと聴いたことのない繊細な揺らぎをもつドラムが複雑なリズムを生み、「きれいな」光を浴びる水面を思わせるグラスパーの流麗なピアノの音(もちろんそれは最近増加傾向にある加工しすぎた不自然さをもろに出してしまうようなものではない)、そしてボーカル。エリカ・バドゥ、ミシェル・ンデゲチェロといった有名なボーカリストはもちろん、その他のアーティストもこのCDの雰囲気を壊すことなく、むしろ他に替えようがない一部となっている。


M2、M3、M7、M8を個人的によく聴いているが、これほど完成度の高い、何度も繰り返し聞きたくなるアルバムも珍しい。歌ものはどうしてもアクが強くなるため、繰り返しに耐えられるものは早々ない・・・
ポップスのすぐに飽きのくる陳腐なメロディはどこにもなく、類い稀なアンサンブルがあるだけ。


M3ではサクソフォンが終盤に天高く連れて行ってくれ、M8ではンデゲチェロの微かにかすれながらも艶のある声で疲労が蓄まっているのに美しく見えてしまう風景に馴染む、黒が浸食しつつある赤い海が浮かんでくる。
一曲一曲が美しも暗いイメージを含み、言葉で説明することは愚かなことであろうがより多くの人々に聴いてほしい一心で拙い言葉を連ねるばかり・・・




Black Radio

Black Radio