2012→2013→2016 WATTISMUSICFOR

映画/音楽/文学/美術

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不正義の果て クロード・ランズマン 2013

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もともとは『ショア』のため1975年に撮影されたインタヴューに、新たに撮りおろされたパートを加えて構成されている。中心となるインタヴュー・パートは《テレージェンシュタット》強制収容所のユダヤ人評議会最後の長老として戦争を生き延び、当時ローマに…

6才のボクが、大人になるまで / ニンフォマニアック

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Boyhood/リンクレイター コールドプレイの《Yellow》で始まり、ポップス、オルタナが続く。Wilco,Yo la tengoには思い入れがあるようで。 12年の歳月をかけて撮影するとなるとその間にいろんな出来事がある。出演者が生きているか、アル中になってしまうか…

素晴らしき放浪者

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ジャン・ルノワール/水に救われたブーデュ 水から救われたブーデュは、本屋とその妻のあまりに親密な夢想が彼に次々とあてがう役を捨て、水によって救われる。人は生に到達するために演劇の外に出るが、水の流れにそって、すなわち時間の流れにそって、それ…

愛の誕生 / 孤高

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フィリップ・ガレル。 《ガレルが映画において説明していること、それは三つの身体、男と女と子供という問題である。<身振り>としての聖なる物語。》と、ドゥルーズ。 『愛の誕生』においては俳優ポール(ルー・カステル)とその妻、そして息子、そしても…

ヴァージニア・ウルフなんか恐くない

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雌が強い世界は平和か。 いがみあい、戯れあう夫婦二人にとって失われたもの、できたかもしれない子ども。不妊。失われた、子どもとの時間。それを二人のなかで厳密なルールのもの、作り出す。禁じられた偶像創造。 そのルールは他者に子どもの存在を語らな…

クリーン / キングス & クイーン

オリヴィエ・アサイヤス。2004。 『欲望の翼』『花様年華』の面影はかすか。 ヘロインを買ったのはどちらか。刑の軽重を決めるには重要な嘘。罪の重さを決めるにはたいしたことがないような嘘だが、周りはその時ではなく傾向として女に天秤を傾ける。 息子の…

ダグラス・サーク『心のともしび』

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1954年、この年にダグラス・サークは三本も撮っている。その真ん中に位置する『心のともしび』原題は "Magnificent Obsession" ものすごい執念。 フィリップス夫人、ヘレン・フィリップス(ジェーン・ワイマン)と間接的にその夫の死の原因となったボブ・メ…

カラックス『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』

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83年。 セーヌのほとり、ブレッソン《白夜》でも中心にあった遊覧船のライト、ロマン主義者の孤独。 パーティー見物人アレックスからミレーユへの、ペソアのような痛ましい語り《ぼくは彼女に会う前から彼女を愛撫していた》… 宇宙飛行士、星。いまは宇宙な…

郊遊 <ピクニック>

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《西瓜》をヴァギナの前に置いてむしゃぶりつく男から、キャベツを噛みちぎる男へ。 ツァイ・ミンリャンとリー・カンション。 息子、娘とコンテナ住まいの男が郊外の荒地で煙草を吸い、ため息をつくと二羽の鳩が飛び去る。 人間広告、強風は傍目にはわからず…

プロミスト・ランド

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ガス・ヴァン・サントとマッド・デイモン。 グローバル社という適当につけた感丸出しの社名が表すように、リアリズムではない。基本的に都会人から見た、疲弊する地方という視点、最後もマッド・デイモン演じるスティーブの私怨を晴らし、自らの恋愛を成就さ…

キェシロフスキ『終わりなし』『愛に関する短いフィルム』/ フェルナンド・ペソア『不安の書』

政治がらみの暗殺か、心臓発作で夫アンテクを亡くした息子一人持ちの寡婦。息子は『永遠の僕たち』のヘンリー・ホッパーみたいにぼんやりと何かを見つめている。それは父か。 こういうところを狙ってくるのが宗教の勧誘、韓国映画の『シークレット・サンシャ…

To Build a Fire

2014/9/3 男は腹を立てていた。己の不運を、声に出して呪った。六時には仲間たちのいる野営地に着くはずだったのに、これで一時間遅れてしまう。火を熾して、靴や靴下を乾かさねばならないからだ。これほどの低温ではそれが至上命令である。そのくらいは男も…

わたしは笑うことを欲している

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2014/4/11 ……ゴダール、ショーの後夕食の席でジャック・ヴィルレに。 歴史上、最も退屈な日は「4月11日」 « WIRED.jp Mayer Hawthorne - How Do You Do - Stick Around Raymond Scott - Soothing Sounds for Baby: Vol. 1 - Sleepy Time

マチュー・アマルリック『さすらいの女神たち』

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ディーバ… ニュー・バーレスク… マチュー・アマルリック… アメリカン・ガラージ… ルイ・ルイ… パリとテレビラジオ電波にトラウマをもつ座長ジョアキム、がに股と釣り上がった目から《カエルさん》と呼ばれる。やりたいようにやっていると痛い目に合う。Uタ…

ジャ・ジャンクー『青の稲妻』

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2004年。ジャ・ジャンクー。 2001年、中国、山東省。中国WTO加盟、天輪功狂信者が天安門広場で焼身自殺、2008年北京オリンピック決定、工場労働者の社員宿舎爆破事件、高速道路開通。 若者2人、無気力だらだらのビンビンとスカした痩せ男シャオジイはそれら…

ハル・ハートリー『シンプルメン』 / スパイク・ジョーンズ『her』

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オルタナ。ヨ・ラ・テンゴとソニック・ユース。 ハル・ハートリー。ニューヨークのアングラではなくインディ。 ウィキによると淀川じいさんが「勝手にしやがれ」に比して絶賛しているとのことだが… 「女は女である」「はなればなれに」のダンスは堕落したゆ…

ワン・ビン『収容病棟』

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瘋愛。'Til Madness do us part。 行き場のない収容者たちのそれでもまだつづく物語。 どこに行っても物語はつづく。 その場所、時、理由といった説明は物語を見るうえで必要な要素ではなく、邪推を引き起こす。収容所を映すカメラが暗転して最後に与えられ…

ロバート・フランク『キャンディ・マウンテン』

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1987年にビート? ロバート・フランクが63歳のとき。ジョー・ストラマーとアート・リンゼイが主人公のギターを強奪するところは微笑ましい。 トム・ウェイツはブラジルカラー。緑のカラー、黄色のポロ、青いチノを着てお庭でパター練習。歌う。 車がやたらと…

熊切和嘉『私の男』

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「海炭市叙景」で地方の湿っているのか乾いているのかよくわからない空気を撮り、「夏の終り」の冒頭10分で満島ひかりの可愛さを掬いとった熊切和嘉。 まさかの錦糸町、楽天地シネマが満員になったのは賞のせいだろうが、よかったよかった。 タブー視、禁…

次から次へいろんなことが起きるねえ

p mo oto

2014/1/24 2014/5/31 国立競技場閉鎖 成瀬巳喜男「稲妻」子どもたちに振り回されながらも飄々としているお母さんがバタバタと忙しい家の中で呆れて。 RATN (Riow Arai & Tujiko Noriko) - J - 僕らはもう空を飛ばなくていい サン・サーンス - 動物の謝肉祭 -…

ミモザの花咲く都では人は皆あきらめろと言う

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2014/2/7 ……ダニエル・シュミット『ラ・パロマ』イングリッド・カーフェン ミモザ - アカシア - 3/8国際女性デー - ミモザの日(伊) Carla Kihlstedt - When Will Tomorrow End

タチ『ぼくの伯父さんの休暇』

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「プレイタイム」「ぼくの伯父さん」もいいが、個人的にいちばん好きなのは「ぼくの伯父さんの休暇」 大がかりな装置、成金趣味の家もなく、こじんまりとしたバカンス先の海辺のホテルというより旅館のような小さなホテルで、例によってごにょごにょと何を話…

ぼくの伯父さんの休暇

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2013/11/6 最良のジャック・タチ Yo La Tengo - Beach Party Tonight Jim O'Rourke + カヒミ・カリィ+ 大友良英 - Sora - Untitled -Ending- Sketch Show - Theme From A Summer Place

グランド・ブタペスト・ホテル と メルシエとカミエ

ジョゼフ・コーネル《ピンクの宮殿》 どこに目をやっても楽しめる細部への拘泥、安定したショット、選び抜かれた無駄のない脚本、くだらないものの排除、愛すべき映画の引用、素晴らしいキャスト… ブニュエルだったら吐き気を催すであろう左右対称の多用、中…

音楽の聴き方(アナと雪の女王 / キース・ジャレット / インサイド・ルーウィン・デイヴィス)

成功者のお話から自らの境遇にトレースして憂鬱な毎日に少しでも希望を持つことは悪くないが、それは一般的に搾取と呼ばれている。しかしもちろん宣伝文句には《搾取》とは書かれず、希望、泣ける、スカッとする云々と+とされる言葉が並ぶ。 『アナと雪の女…

おしゃれなだけで終わらない女の子のために(ひなぎく)

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1996年に咲いた二輪のひなぎくの自由な振る舞いを見に、多くのおしゃれをした女の子が渋谷のイメージフォーラムに集まり、階段に座って見るというかすかな苦行を受け入れながら画面を見つめているのはなかなかよいと思った。 そしてそうさせるのはもちろん『…

テロと逃走 (ミュンヘン / キャッチ=22)

1972年、ミュンヘンオリンピックでイスラエルの選手11人がパレスチナ武装組織《黒い九月》により人質にとられ、全員殺害された事件を発端にしてイスラエルの英雄と呼ばれる父を持つ平凡で《退屈な》男が政府に頼まれて暗殺団のリーダーとなる。 ミュンヘン…

女の思う表と裏(女が階段を上るとき)

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成瀬巳喜男、1960年。 タイトルロールから全編、ポランスキーの『水の中のナイフ』かと思うほど甘いジャズが流れ、それに似合った酒場が舞台となり、成瀬といえば高峰秀子が遅れて登場し、「夕方、わたしが階段を上るときが一番嫌だ」と言って現状への不満を…

カップルの原則

1. 初期衝動がないと苦労するということ ……ホアキン・フェニックスがハグ越しにする虚ろな目《トゥー・ラヴァーズ》 ……《引き裂かれた女》 2. 付き合うー別れる…という言葉を使わず、その形式から逃れること ……成瀬巳喜男《浮雲》 ……ホン・サンス《次の朝は…

未亡人のフィールド・ハラー(ブルージャスミン)

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『ミッドナイト・イン・パリ』がレア・セドゥに救われたように『ブルージャスミン』もケイト・ブランシェット、女優に救われている。 女性映画という呼び方は意味がわからないが、女性が主人公の映画。 ウディ・アレンのsexual abuse問題、無知なセレブリテ…

全てが変わるために、何も変えてはならない(ヴァンダの部屋 / 何も変えてはならない)

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ポルトガル、リスボンの外れ、アフリカ移民のゲットー、フォンタイーニャス地区。 三姉妹の次女? ヴァンダは暗い部屋の一室で激しく咳き込んでいる。骨と皮だけの身体が弾み、その弾みで吐瀉物が口から溢れる。アルミホイルの上にタウンページに隠してある…

ヒッチコック『泥棒成金』 / ルノワール『恋多き女』

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《泥棒成金》(1955)時代を感じるタイトル、初のフランスロケ、ヒッチコック自身から《軽い話だからね》と言われてしまうような映画。 お高くとまったミステリ好きの凡庸なお嬢様フランセスをそのままそう見させてしまうグレース・ケリー。これ見よがしに背…

めんどくさいカップルと合図(ザ・フューチャー / ブレヒト《第一のソネット》)

フェミニストオシャレアート文化系女優小説家監督アーティスト… ゆるふわなレッテルに晒されながら頑張っているミランダ・ジュライの第二作。 いくら可愛いミランダ・ジュライでも一般的な忙しい男たちからは「めんどくさい」と言われてしまうであろう女と、…

歌のある過去 と 無表情(四川のうた / 三姉妹)

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絶えず流れに逆らいながら… 《グレート・ギャッツビー》の甘く苦い過去は誰にだって存在する。 四川省成都の国営企業の機密工場《420工場》は郊外へ移転され、解体される。《四川のうた》でインタビューを受ける人々は過去を封印し、現在の生活を成り立たせ…

悪役のメンソール と レクイエム(ハードエイト / Telephone)

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1996年。HARD EIGHT。PTAの処女作。 上から俯瞰されるコーヒーカップと煙草(セイラム)。どうしようもない悪役のサミュエル・ジャクソンがわざわざメンソールは?と聞いていたので、警備員で内か外かをひどく気にしていてさらに金持ちばかり相手にしている…

成瀬巳喜男『流れる』

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1956年、成瀬巳喜男の女の映画《流れる》 金井美恵子によると冒頭と結びで現れる川の流れが意味するものは《行く川の流れは絶えずしてしかも元の水ではなく、流れに浮かぶうたかたが結びかつ消える》という人生の比喩であることは先刻互いに承知の上らしい。…

東京暮色 / 不気味なものの肌に触れる

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1957年。小津の明るい、雲一つない青空、高架上の駅のプラットホームで挨拶を交わす人々はおらず、暗い、灰色の空の下、雪まで降って、高架下のイメージを引き取った人々の暗い話。 原節子でさえ疲れている。二人娘の父たる笠智衆は何度問いかけても話をして…

出産に立ち合わない男は存在しない(アイス / マイルストーンズ)

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立誠小学校の簡素な映画館というか教室で見るには長過ぎるロバート・クレイマーの60ー70年代の二本《アイス》《マイルストーンズ》、左寄りの京都でも観客は少なく、3、4人の男たち、一週間だけの上映でこの数、というのはわかる気もする。 映写機のカ…

征服者は常に敗北者によって征服される(アクト・オブ・キリング)

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そら吐きたくもなるわな… 1965年、インドネシア、共産主義者と華僑の100万人以上が虐殺された歴史の端っこにいるヤンキーたち…こんな奴らの行ないから人間の尊厳だの悪とは何かと言われても… 主人公が設定されるドラマチックなドキュメンタリー、今作…

ポール・トーマス・アンダーソン『マグノリア』

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アルトマンから継いだ群像。微妙につながっている。群像劇は要素の繋がり、伏線、その回収が次々に継起して進んでいき、その中心に作家が見えるためフィクション、特にエンタメの形式であり、今作も中盤で登場人物各々に同じポップスを歌わせてフィクション…

悪の法則 / 銀河 / 暗殺の森 / 忘れられた人々

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男だ、女だとうだうだと言っている男たち。女たちは出てこず。 キャメロン・ディアス(マルキナ)とペネロペ・クルス(ローラ)、女豹と平凡な美人セレブ妻はプールサイドで話し合い、ダイヤモンドの価値について意見を交わす。キャメロンは資本主義的価値を…

ルイ・マル『死刑台のエレベーター』

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鉛筆削りじゃやっぱりダメだった。知らない誰かが無鉄砲に撃った銃にご破算にされる。 エレベーターは上昇していたはずなのに電源が復活して物語の下降線とともに落下する。 男ジュリアン・タベルニエ(モーリス・ロネ)、元落下傘兵はもはや落下するときも…

ブギー・ナイツ / パーティー・ガール(暗黒街の女)

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青春ー栄光ー没落 レイジング・ブル 青春時代の細切れの栄光の日々は欲しいものを買ってパーティーを開いてホワイトラインを鼻の中に入れていくお決まりのものだが、終盤に向けての材料が散りばめてある。ホフマン先生の使い方が酷い。監督のキャラが薄い。…

熊切和嘉『夏の終り』

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満島ひかりの細く長い指。特に長い。 かつて繋がれた手とまどろみのなか繋がれた手と解かれた手。 男は成瀬と同じくどうでもいい存在であり、それは俳優2人によってよく抑制されている。 かといって女が素晴らしいとか母性押し出しでもなく、女から見てもこ…

稲妻 / 乱れる / めし / 世界

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「キンタマのない」映画とはまたよく言いますね。 失恋してというか、女に出会って仲良くなって話していると意味がわからないところで怒りだし、意味がわからないところで優しくなり、サド=マゾを連想してしまうようなアメとムチっぷりを見せられ、困惑した…

わたしはロランス

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ほこりは光を当てれば美しい。ほこりは美しい。 《時の塵》は降り積もり、吹かれ、消えてはまた積もる。 メロドラマはよかったとき、幸せの絶頂から修羅場、別れ、再会、中間へとむかう。 観客がいまどんな状態にあろうと見ることができる。幸せの絶頂を苦悶…

パラダイス:愛 / パラダイス:神

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人のいいデブだっている。デブへの風当たりは夏の満員電車において激しさを増すが、悪気があって太っているわけではないし、身体のことをとやかく言うのは礼を失している。しかしながらほとんどの人が礼を失して人の身体について言葉を並べる。胸がでかい、…

女っ気なし / パラダイス:希望

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『女っ気なし』ではタイトルがタイトルだけに女っ気なしの優男に女がやってくる話で、実直で物知らずで優しくろくでなしのいくらでも形容詞がつけられそうな男が中心にいる。浜辺でちょこちょこ飛び跳ねながらこちらへ向ってくる男は「かわいい」のかもしれ…

穴 / 愛、アムール / 凶悪 / 地獄でなぜ悪い

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ガスパールは決して許されない。独善的で凡庸な、何の歓びもない裏切り。 ピエール瀧もリリー・フランキーも許されない。何をしたところで。誰にも。許しを請うことが許されない。また、誰も彼らを裁くことはできない。『凶悪』犯の足跡を追う記者は正義感に…

ハーモニー・コリン『スプリング・ブレイカーズ』 / テオ・アンゲロプロス『エレニの帰郷』

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スプリング・ブレイク…フォーエバー ヤク中、ガンマニアのヤンキーの朦朧とした頭で呟くフレーズは、女学生たちの登場によって生まれ、繰り返される。ブリトニーの切な系ポップソングをピアノ弾き語り合唱し、隙だらけの強奪を繰り返す。 女の子たちのキャラ…